ヒロイン、寒咲幹は実家がサイクルショップを経営することもあり、自転車が大好き。
幹は坂道を「ウソをつくタイプじゃない」と言う。
そして、ママチャリで往復40キロ、秋葉原に行ったことが、本当だったのかどうか気にしている様子。
幹の親友の女の子、アヤちゃんは逆に、オタクが大嫌い。
「オタク見るとイライラするんだ」と言いながら、坂道を殴った手を、ハンカチでふいている。
この作品、「自転車」という大きなテーマがあるが、登場人物すべて憎めない「いい奴」ばかりで安心して読むことができる。
読んでいて、気持ちが楽になる漫画。
読んでいて、「等身大」のキャラクターたちを魅了される漫画。
そう、この作品の魅力は「等身大」であることだと思う。
千葉県(俺も千葉県民だが)には、二つの顔がある。
ひとつは「千葉都民」と言われる千葉に住んではいるが、親が東京で働いており、住まいとして家賃の高い東京ではなく、交通の便もいい、東京すぐ隣の千葉に住んでいるパターンである。
もうひとつは、いわゆる房総地域、九十九里海岸、太平洋に隣接した、自然豊かな郷土、海の町、千葉である。
つまり、千葉とは「都会」と「田舎」が同居した「県」である。
その「都会」の部分の代表が今泉俊輔であり、「田舎」の部分の代表が小野田坂道であると言える。
今泉は自宅内においても最新の設備、機器を揃え、自転車トレーニングに励んでいる。
かたや、坂道は自然の宝庫、九十九里の育ち。
機械的なトレーニングはしていないと思うが、幼少のころより、おそらく九十九里の砂浜で遊んでいたり、海岸通りを長距離通学していたとするならば、相当な脚力が自然と身について当たり前だろう。
そのあたりの背景が、今後、出てくると思う。
「秋葉原まで片道20キロ・・・でも、僕の中学だって、家から片道12キロ以上はあったかな」というセリフがあるかもしれない。
自転車を愛し、ストイックに理論的なトレーニングに励む今泉。
九十九里育ち、スポーツは苦手だが、大きな自然に囲まれて育った坂道。
同じ「千葉県民」だが、それは「都会」と「田舎」の対比でもあると言える。
だからこそ、今泉は坂道の「能力」に気がつき、勝負を挑んだんだろう。
この漫画の魅力は「等身大」という距離感の近さである。
「勉強もそこそこ、スポーツもそこそこ」
「強いときもあれば、弱いときもある」
そんな「等身大」が、坂道のキャラクターであり、それであるがゆえに、坂道のオタク描写が読者に自然に受け入れられているのだろう。
第3話以降の展開も、目が離せない。

