フルセット!に関しては、Shinsen君のサイトや釘煮大福君のサイトで、毎週、ハイレベルなレビューがされているので、ぜひ、そちらを読んでいただきたいが、俺が今回、指摘したいのは、「声」という点である。
当然のことながら、読者は、このフルセットのキャラクターたちが、どんな声を出しているのか、知る由もない。
けれど、みんな、読者全員、キャラクターたちの声は聞こえているのではないだろうか。
入谷火野が叫ぶ声、会田雅矢の自信に満ちた声、灯や翼佐たちの応援の声、上森泉のオドオドした声、真木君の華奢な声、
この作品のすごいところは、読んでいて登場人物たちの声のみならず、生々しい息遣いまでが、手に取るように感じられること。
それは、作家と読者が意気投合している証左であり、類稀なる美しい緊張感でもある。
今週のストーリー展開は、上記サイトに任せるとして、今週、どうしても指摘しておきたいのが、この「声」の問題だ。
そう、園田の声。
園田の声は真剣だ。
緊張で声は震えているに違いない。
けれど、それを打ち消すほど、強い魂の叫びが、声を大きくしている。
今週の園田の行動は、極めて衝動的だ。
しかし、衝動的行動こそが、青春なのだ。
そういった意味では、この園田の熱過ぎる衝動は、感動を呼んで当然だろう。
また、梅田先生のカット割の巧さは、抜群だ。
園部が動き始めてから、灯と翼佐の間に立って、第一声「こらアホ!!しっかりせえっ」と叫ぶまでのカット割の絶妙さは異常。
そして、園部の言葉に、まったく無駄がない。
「ヒーローやったら!!エースやったら!!意地でも何でも 十背山(ここ)で決めてみせえっ!!」
という園部の声が響く2ページ見開きのシーンには感動。
静まり返った体育館に響く、少し震えているものの、様々な思い、感情が交差した、力強く響き渡る声。
その声を聞けただけでも、今週のフルセットを読めて幸せだったなと思う。
そして、裸足になって、入谷に声をかける会田の後姿は美しすぎる。
園部が動き始めてから、会田の表情を描いたコマはない。
その代わり、会田の後姿が、印象に残る。
「男は背中で語る」
どこかで聞いた言葉を思い出した。
フルセットという漫画には言葉にできない感情が、詰まっている。
だからこそ、読者は、その言葉なき感情の真意を探ろうとする。
いわば、梅田先生に、公式では解けない方程式を、毎週、出題されているようなものである。
とにかく、熱い、熱すぎる。
フルセットの載ったチャンピオンに、土鍋を乗せたら、鍋焼きうどんができるのではないかと思うほどの熱さだ。
来週も気になるが、週刊連載で、ここまでチャンピオン本誌を何回も読み返したのは、久しぶりだ。
来週の木曜日、また、どんな「声」が聞けるのか。
今から楽しみで仕方がない。

