人面犬の『秋田で始まり、秋田で終わる』

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平松伸二 『どす恋ジゴロ』 伊達千蔵に足りなかったもの

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「豚か狼か」主催の宇都宮勇さんとの合同クロスレビュー第1弾となった、高橋ゆたか先生の「世界一さお師な男 伊達千蔵」だが、いまだに恥ずかしながら単行本の6巻、7巻が入手できないままでいる。

この漫画の主人公、伊達千蔵は、まさに完璧な人物である。

長身でイケメン、教養も高くインテリであり、同時に抜群のスポーツマンでもある。
そして、百戦錬磨のセックステクニック、女性をその気にさせる会話のテクニック。
すべてにおいて、まさに完璧なのである。

伊達千蔵に足りないものなどあるのだろうか。

あえて挙げるならば、それは格闘技的な強さ、相手を圧倒するケンカのテクニックである。

今回、レビューする平松伸二先生の『嗚呼 どす恋ジゴロ』は、その伊達千蔵に足りないものを持った力士が主人公の痛快な、あまりにも痛快な娯楽大作なのである。

この作品は集英社『ビジネスジャンプ』で連載され、単行本が全4巻発行され、その後、日本文芸社「漫画ゴラク」に移籍し、単行本も1巻だけ発売されている。

この作品、痛快という言葉がまさに似合う娯楽大作である。

伊達千蔵レビューの時、俺の頭に浮かんだ作品に巻来功士先生の『瑠璃子女王の華麗なる日々』(集英社)という作品がある。
この作品については、いずれ、このブログでも書こうとは思うのだが、はっきり言って重い。
既婚者には、非常に重たい作品であり、改めてレビューするとなると、疲れが出そうで、いまいち足を踏み切れないままでいる。

その点、この『嗚呼 どす恋ジゴロ』は、すべての漫キチに捧げる、お勧めする作品である。

主人公は関脇、恋吹雪である。

桜吹雪「どうして横綱、大関を真剣に狙わないのか?」と親方に詰問されたとき、このように語っている。

「俺は関脇って地位が好きなんですよ。守りに入る1番や2番じゃなくて、3番4番手あたりで勝っても負けても客を沸かせる。芸で魅せれる関脇ってやつがねぇ・・・」

では、伊達千蔵が、セックスにおいて「プロさお師」であったのに対し、桜吹雪はどういった存在なのであるかというと、「セックスした後、相手の女性に艶(つや)が出てしまう」という魅力、性技を持った存在なのである。

伊達千蔵に抱かれた女性たちは夢を見る。
いまだかつて経験したことのない快感に夢を見る。
そして、裸の自分を見つめなおすことで、生まれ変わるのである。

桜吹雪はどうだろうか。
相撲道によって鍛え上げれた鋼鉄のような体は女性をただ抱きしめるではない。
伊達千蔵のような理論武装もない。
そこにあるのは、あらゆる事象を吹き飛ばしてしまう圧倒的な肉体のパワーである。
これは伊達千蔵も足元にも及ばないところである。

桜吹雪はセックスの前、全裸で四股を踏む。
その肉体の輝き、オーラに女性たちは吸い込まれるのである。

鍛えられた体、そして二枚目の顔立ち。
現役の相撲力士である桜吹雪にとって、肉体の持つパワーで女性たちを快感の世界に誘うことなど朝飯前なのである。

伊達千蔵の存在を知った俺は、伊達千蔵に憧れ、もし自分が女性であったならば、いつか抱かれたいと思った。

桜吹雪の存在を知った俺は、桜吹雪に憧れ、自分も同じ男として強くなりたい、いつか桜吹雪のようなパワフルなセックスがやりたいと思った。

桜吹雪のセックスは、ある意味、オーソドックスなセックスであるといえる。
特別なテクニックがあるわけではない。
そして、まったくいやらしくない。
アスリートの持つ特権なのだろう。
スポーツの延長線上にあるようなセックスである。
つまり女性たちは、超一流のアスリートである桜吹雪とセックスすることによって、その超一流のアスリートたちが持つ世界観を同時に体験しているのである。

おそらく新古書店に行けば、まだ単行本は買えると思うので、実際にストーリーの妙も味わってもらいたい。

さすがジャンプ作家だけあって、安定した画力はもちろんのこと、単なるネタ漫画にならず、構成もしっかりしている。

ぜひ、時間と金に余裕のある方は手にとっていただきたい名作である。

  1. 2008/05/10(土) 21:26:37|
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