夕日が遠く地平線に沈む頃。
糸花市中心部にある、杉原中学の校舎とグランドは、オレンジ色に染まっていた。
陸上部の部員たちは、グランドキーパーで、荒れたグランドをならし、帰りの身支度を整えていた。
「みんな、お疲れ!」
そう言って、陸上部の部員たちを笑顔で送っていたのは、顧問の塩井だった。
数年前、教師になって初赴任となった杉原中学で、塩井は陸上部の指導に当たっている。
塩井は男子生徒たちにとって、羨望の対象であった。
背が高く、ジャージを着ていても分かってしまうほど豊満な胸、抜群のプロポーション、そして、どこか憂いを秘めたミステリアスな表情。
教師といえども、聖職者といえども、一人の人間であり、一人の女である。
けれど、生徒たちの前では、教師の顔を見せる、いや、演じ続けなければならない。
塩井は、陸上部の部室に生徒たちがいなくなったのを確認すると、部室の内側から鍵を掛けた。
時計の針は、すでに7時を回っている。
ロッカー脇の椅子に腰掛けた塩井は、周囲に人がいないか、そっと確認した。
期末試験前ギリギリまで部活の練習を継続していたのは、陸上部だけであった。
他の部活は練習どころか、すでに試験直前ということもあり、とっくに帰宅し、今頃は、最後の追い込みをしていることだろう。
(はぁ・・・)
塩井は、そう吐息を吐いて、改めて周囲に「音」がないか確認した。
そして、周りに誰もいないことを確認してから、右手の中指を、そっと口の中に入れた。
指をつばで濡らし、そっとジャージの中に忍び込ませる。
(また・・・、熱くなってる・・・、ゼッタイ・・・)
今度は左手の中指を口に入れ、そのままTシャツの上から、乳首を刺激した。
それは、無理もないことであった。
20代前半の彼女にとって、性の飢えは、タブーながらも、大きな悩みであった。
毎日、接する生徒たちから感じるエネルギー。
「指導者」としての自分、その自分を守ろうとするあまり、ますます高ぶってくる禁忌。
気がつくと、塩井は椅子に腰掛けたまま、ジャージを脱ぎ捨て、スニーカーソックスに純白のパンツ、そして上半身は、「SUGIHARA TRACK&FIELD」とロゴの入ったTシャツという姿になっていた。
塩井は暴走した、まるで産まれたての赤ん坊の如く。
糸花市教育委員会にバレようものならば、即刻、辞表提出、自己都合退職だろう。
けれど、もう我慢は限界に達していた。
そこにあるのは、理性を捨て、ただ性の虜囚となった一匹の哀れな雌女の痴態であった。
原因は、一人の生徒だった。
杉原中学バレー部復活の輝けるスター、会田雅矢である。
かつて、「園芸部」と揶揄され、軽蔑の対象でしかなかった杉原中学バレー部。
そのバレー部を、奇跡の転校生、入谷火野と一緒になって、強豪バレー部へと変貌させた立役者である。
中学2年生ながら、180センチを超える長身と抜群のスポーツ能力、そしてどこか、ハーフとも思わせる美しいルックス。
少年のあどけなさと、美しさゆえの危険な匂いが、同居した魅力は、塩井の心をつかむのに、さほど多くの時間を要しなかった。
(会田君・・・)
塩井は、スニーカーソックスだけになった足を、まるで生まれたてのサラブレッドのようにワナワナと震わせている。
そして、海がめの産卵のように、涙を流して、クローバーを脱ぎ捨て、今度は直接、敏感な部分、ピクルをいじり始めていた。
ピクルから、糸引くほどに、あふれたゼスモスを、今度は、口に運び、行き場のない感情を指に集中させて、ひたすらに伝わってくる覇道に溺れていった。
塩井の胸は、言葉には出ないものの、思春期真っ最中の男子生徒からは「神」と崇めたてられていた
。
男子生徒たちの間では、ある隠語があった。
「SMK」 塩井の 胸は 神
そのSMKが、今、蹂躙されていた。
エデンの園に入った侵入者、それは塩井自身の指であった。
ゆうに80センチはある豊満な胸を、感情がパニッシャーするままに、アルトしてしまう性職者、塩井。
その痴態は、米原秀幸の画力を持ってしても、描けるものではなかった。
板垣恵介の描く食べ物よりも美味しそうな痴態、水穂しゅうしの画力ならば、それは鳥獣戯画を超越したものになっていただろう。
水島新司が描くならば、「YES」 やっぱり エロい 塩井 になっていただろう。
その「YES」というサインは、予想外な展開を引き寄せることになる。
はじめから「NO」という選択肢はなかった。
「YES」しかなかったのである。
塩井が、行き場のないゼスモスに支配されていたその瞬間、突如、部室のドアが開いてしまったのである。
言葉を失う塩井・・・。
そして、塩井の視界に入って来た人物は、そうバレー部の会田、そして深山の二人だったのである。
塩井は混乱した。
メダパニ状態の塩井、心はラリホー、視界はマヌーサ、そして、今、自分が置かれた環境は・・・、パルプンテであった。
(・・・!)
「お前さ〜ここの部室、鍵ぶっ壊れてるの知ってるの?エロ教師さんよ〜」
最初に口を開いたのは深山である。
「深山君・・・、どうして、なんで、ここに・・・」
会田は、ニヤッと笑いながら、無言で塩井を見下している。
「あの〜ここの部室だけ、電気ついてるんすけど!電気消さないバカいないよな〜」
会田が、部室のドアを閉めて、塩井の前に立ちはだかり、口を開いた。
「俺たち、県南大会で優勝した後、本大会目指して、今日は屋代からOKもらって、居残り練習してたんだよ。それで帰ろうかなっと思ったら、深山が“陸上部の部室だけ電気ついてる!”って見つけてくれて!いやぁ〜笑った!最高♪」
「・・・」
「塩井先生♪これ証拠写真っすよ♪」
そう言って、深山は、携帯電話を取り出した。
その携帯電話には、塩井の痴態が、すべて鮮明な画像で撮影、記録されていた。
さすがアクオスケータイ、SH903iTVである。
塩井は言葉を失った。
携帯電話の液晶に写っていたのは、まぎれもない、ゼスモス真っ最中の塩井本人であったのである。
「先生〜質問!これが、もし、みんなにバレたら、どうなるんですか?」
「・・・」
「先生〜かわいい生徒が分からないこと質問してるのに、なんで教えてくれないんですか?」
「・・・」
深山は、塩井の前で、ヤンキー座わりをして、塩井の顔を指でなぞりながら、質問をした。
「こいつ、すっげぇ、かわいい顔してんじゃん〜、きゃわいい〜」
「・・・、何がやりたいの・・・、何をやれば許してもらえるの・・・」
塩井は、搾り出すのがやっとの声で、返答した。
会田が口を開いた。
「俺たち、先生とケンカしたくなんかないっすよ・・・、俺も入谷とのエッチは飽きたし、こいつも白川とのエッチはマンネリらしくて・・・、たまってんすよ・・・、ここまで言えば分かるっしょ!先生なんだから・・・」
「・・・」
部室の電気が消えた。
それは、塩井の理性が消えた瞬間でもあった。
塩井は、ひざで立ち、顔の両脇に、会田と深山が立った。
その瞬間、塩井の表情から安堵が感じられた。
それは、誘拐犯と人質の心理状態にも似ていた。
極限状態になると、誘拐犯と人質の間には、奇妙な連帯感が生まれるという。
そして、今、目の前にいるのは「憧れ」の会田本人である。
劇場は開幕した。
年上のヒロインを、少年二人をいたぶる舞台の開幕であった。
「先生、いつごろから俺のこと、狙ってたんだよ」
会田が、塩井に言った。
「最近かな・・・」
「ウソつけ、お前バレー部の練習応援します!とか言って、俺のことばっか見てたじゃねぇか」
「・・・」
「今からお前は教師でもなきゃ、先生でもないから。エロ塩井、これでいいっしょ!」
深山が笑った。
塩井はうれしかった。
これは夢物語ではないのだろうか・・・。
夢?・・・、そう思って、太ももをつねってみた。
(痛い・・・)
夢ではなかった、まさにそれは過酷ながらも、最高の快楽が準備された現実であった。
「おら!大きく口あけろよ。そう、ツバメが親鳥から餌もらうように、ピーピー鳴きながら、大口あけろ。エロ塩井」
深山が命令した。
塩井は深山の命令どおり、大きく口をあけた。
そこに、深山のウォーゼルが挿入された。
「やっぱ大人の女はあったけぇ!白川とは違うな、これが大人の淫口かぁ、やっぱすげぇや!エロ塩井!オッパッピー!」
塩井は歓喜の涙を流しながら、一生懸命、教え子のために、ピクルした。
「やっべぇ!超気持ちいい!ジャンプでアンケート人気1位になった感じじゃん!」
深山は、塩井の後頭部を抑えながら、強引に奥まで咥えさせた。
塩井が、一瞬、うずくと、それでもおかまいなしに、ウォーゼルを根元まで挿入した。
会田も黙ってはいなかった。
そして、会田は、塩井の耳元で、そっと囁いた。
(入谷に今日のこと話したら殺すからな・・・)
そして、塩井の目の前に、会田も強気ペダルを出した。
「エロ教師いいか、俺が言った通りに、そのまま繰り返し言えよ」
「うん・・・、分かった・・・」
「天才・会田様のミルキィがたっぷり詰まったカッツをパニッシャーさせてくださいって言ってみな」
「・・・」
「早く言えよ、言えないなら終わらせてもいいんだけど」
「・・・」
「もったいぶるんじゃねぇよ!エロ教師」
「塩井は幸せです・・・、天才・会田様のミルキィがいっぱい詰まったドリームスティック、パックンチョさせてください・・・」
塩井は、憧れの人、会田の強気ペダルを初めて、自分の口内に入れてみた。
うれしかった、ただひたすらに、うれしかった。
美味しかった、それは、想像以上の美味だった。
同僚の家庭科教師、佐藤田の言葉を思い出した。
「セックスは魔法」
けれど、それだけでは勝てなかった。
そう、会田にとっては「セックスは勝負」だったのである。
塩井は、ひざで立ちながら、会田と深山、二人のウォーゼルを一度に咥えた。
そして、右手で深山のウォーゼル、左手で会田の強気ペダル、それぞれ一生懸命、しごいた。
下から会田と深山の顔を見上げて、懇願した。
「ミルキィください・・・欲しいです・・・」
深山が、塩井の顔に、つばを垂らしながら言った。
「このエロ教師、もう出番ゼロでいいっしょ!俺、後で梅田先生にメール入れとく!もう少年誌で、こんなエロ教師、出演させたら、チャンピオン烈になっちゃいますよって!」
会田は、塩井のテクニックに防戦一方であった。
「こいつ、どこでこんなエロいテクニック覚えたんだよ・・・、やべぇよ、気持ちいいよ、教職課程の大学生ってこんな講義ばっかりやってんだろうな・・・」
深山は、ここ何日か白川に対する不満があった。
不満といえば、白川がかわいそうだろう。
性の探求者、杉原中学の代々木忠を自認する深山にとって、まだ幼い白川は「研究対象」としては、明らかに役不足だったのである。
北原翼佐、日野灯を狙ったものの、この二人、心は明らかにゴーイング入谷火野。
会田と深山、まだ中学2年生である。
まして、この環境では、パニッシャーが葉早まって当然である。
最初に、雄声を上げたのは会田である。
「おら!しっかりベロ出して・・・天才・会田様の優性遺伝子がたっぷり詰まったミルキィ、やべぇ・・・、イク!」
そして、深山も阿吽の呼吸とばかりに、続いた。
「夜の陸上部の部室で、マンズリこいてる人間失格者さん!お前が前から欲しがってた、中学2年生のホットフレッシュジュース、ドリンクバーしてやるよ!
それは、女性誌の化粧品特集、美容特集では、よく見かける誌面、光景であった。
塩井の顔は、会田と深山のミルキィで、きれいにパックされてしまったのである。
「黙ってねぇで、いただきますって言ってから、舐めろ!」
深山が命令した。
「いいな!今日のこと話したら、マジ、杉中にいられなくしてやっからな」
会田が、塩井の顔に降り注いだミルキィシャワーを携帯電話で撮影しながら、そう言った。
その日は、満月であった。
雲ひとつない夜空に、満月は大きく輝いた。
満月の日は、何かが起きると、本で読んだことがある。
電気の消えた陸上部の部室から、二人の少年が出てきた。
そして、自転車に乗って、家路についたらしい。
それから数分して、ジャージ姿の女性が、出てきた。
髪の毛をポニーテール、後ろで結んだ女性は、そのまま車に乗り込み、県道1号線方面に消えた。
翌日。
杉原中学は、期末試験初日を迎えていた。
杉原中学男子バレー部、唯一の3年生、菊池は、受験も迫ったこの期末試験に賭けていた。
初日は得意の数学である。
県内屈指の進学校である沢高校を目指すには、ここで95点を割るわけにはいかなかった。
9時、試験監督が入って来た。
菊池は、一瞬、試験監督の塩井先生を見て、(少し元気がないな・・・)と感じた。
「これから数学の試験を開始します」
塩井がそう言った時、すでに菊池は目の前の数学の問題に没頭していた。
そして、杉原中学の、期末試験は始まったのである。